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光紡ぐ神の旋律 ~ Melodies of Memories ~


第五章 02

「――っ!」
 悪寒を感じて、唐突に目が覚めた。
 ……ここは……?
 薄暗い室内。見慣れた天井――ここが自分の部屋であることを理解するのに、かなりの時間を要した。
 わたしはいま、ベッドの上で横になっていた。やけに冷えるなと思っていたら、かけ布団がはだけてるのに気づいた。
 ……寒い。
 本当に寒い夜だった。寒いのにもかかわらず、体全体にいやな感じの汗をかいているみたいで、少し気持ち悪い。
 枕もとの時計を見ると、時刻は午前二時過ぎ。
「……夢」
 怖いまでの静寂と沈黙が、わたしを覆っていた。さっきまでいた暗闇からまだ抜け出せてないような恐怖に、自分を抱きしめた。
 あれが全部……夢。
 なんてリアルな夢だったんだろう。
「……お母さん」
 最後に聞こえてきた声。あれは間違いなくお母さんだった。
「う……ぁ……」
 涙と嗚咽(おえつ)が溢れてくる。お母さんの夢を見ると、いつもこうなってしまう。
 もう、あれから半年も経ったのに。
 わたしはまだ、いろいろな呪縛から逃れられない。
 わたしが弱いせいもある。
 でも、いちばんの理由――それもこれも、全部あの人のせいだ。あの人のせいで、あんなことになってしまった。こんな夢を見るようになってしまった。
 憎悪の感情が、わたしの内側から不快な音を立てて湧き上がってくる。こんな気分では、もう一度眠りにつくなんて無理みたい。
 わたしは明日――正確には今日一日、寝不足を覚悟した。


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