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光紡ぐ神の旋律 ~ Melodies of Memories ~


第十一章 04

 この旋律。
 地球の裏側にいても聴こえてきそうな、力強い調べ。でも同時に、包み込むようなやさしさも秘めている。
 ……ヴァイオリンの……音色?
 しかも、安物のヴァイオリンと並の演奏者ではない。
 ここまでの響きは、選び抜かれたヴァイオリンと、かなりの研鑽を積んだ演奏者にしか紡ぐことができないレベルの音だ。 
 ……似ている。
 弦帝こと、ベルナルド・フォン・クラウザーが奏でたヴァイオリンの旋律に。
 俺が唯一尊敬した、彼の音楽に。
 でも、彼とは別次元の色も持っている。それがなんなのか、うまく説明はできないけど。
 言葉を超越したなにかが、俺の心を揺さぶり始めた。
 ……ああ。
 こんな心地いい音、いままで聴いたことがあっただろうか。荒んだ心の棘が綺麗さっぱり丸まっていくような、そんな感覚。
 ……まさか、な。
 音の出所をたしかめるために、柄杓や水の入った桶やらをその場に置き、おもむろに歩き出した。
 目指すはあそこだ。
 天野宮自然公園が全国に誇る展望台。
 音はそこから、光のように降り注いでくる。


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