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いま、その翼を広げて


Catastrophe-18

「きみ、いまなんて言った?」
 総理執務室で、デスクの向こう側に立つ桜庭を見上げる総理。
「ですから、〈神の遺伝子〉というのは、もっともハードルの低い空気感染経路で、今後爆発的に広がる恐れがあります! いまはまだ地形や風向きの関係で汐見沢だけで済んでいますが――」 
「しかし、それはあまりにも……! それにいったい、いくらかかると思っているんだねっ!? 避難先の確保や保障はどうする! だいたい星蹟島は天宮グループの総本山だぞ。日本最大の企業が根を下ろしているんだ! 経済的損失や影響がどれほど膨れあがるかわかっているのか!?」
「経済は時間がかかっても立て直せます! しかし人命はそうではない! 国とは金ではなく人です! ……総理、あなたは自分の家族が異種化しても、同じことが言えますか」
「むぅっ……」
「もはや一刻の猶予もありません。この場でご決断を。星蹟島の全住民の避難及び完全封鎖を決める権限を有するのは、この国であなただけです――」
 桜庭は一度言葉を切り、大きく息を吸ってから告げた。
「このままでは、日本は滅びます」
 


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