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いま、その翼を広げて


Catastrophe-4

 高台にある小学校へセイラたちがたどり着いた頃には、校庭に多くの人々が避難していた。
 人々の悲鳴があがる。
 校庭の端から、眼下の街並みが見下ろすことができた。
 しかし、「街並み」なんてものはなかった。 
 冥界から召喚したようなどす黒い奔流がうねりをあげて、文字どおり眼下の街をまるで容赦なく破壊している最中だったから。
 流された建物と建物がぶつかり、大きな破砕音を立てている。大型トラックですら、おもちゃのように浮いていた。
「津波の到達が早い! 震源地が近いのか……っ!」
 セイラが悔しそうにつぶやく。
 と、惺が苦しそうに膝をついた。
「……っ……人が……たくさん流されて……っ」
 惺の「能力」は、離れている人々の思念や感情を読みとることができる。目には見えなくとも、津波に飲まれていく人々の絶叫や悲鳴など、惺にとっては手に取るようにわかった。
 しゃがみ込んで震えていた真奈海が、ふらっと立ち上がる。まるで幽霊のような足取りで歩き出した。
「真奈海! どこに行くつもりだ!」
「離して! 家族がっ……みんながっ……!?」
「落ち着くんだ真奈海! この状況では戻れない!」
「――っ」
 再び力なくしゃがみ込む真奈海。
 彼女の家も海に近い場所にあった。しかし地震直後から携帯電話はまるで通じず、安否は不明。
 誰にもどうすることもできなかった。


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