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いま、その翼を広げて


Extrication-9

 これでよかったのか。
 自分の選択は合っていたのか。
 間違いだとしたら、もうやり直せないのか。
 何度も自問して、納得したつもりだった。
 異種化を食い止めないと、星峰の家族がみんな死んでしまう。
 それは嫌だ。
 だから、悠は犠牲になるしかないんだ。
 じゃないと世界は滅びるんだ。
 斑鳩がそう言っていた。
 霞も同じようなことを言っていた。
 なのにどうして、いつまでも悠の顔が頭に浮かんでいるんだろう。最後の最後まで自分の心配をしてくれた彼女の声が、言葉が、感情が、どうして心から離れてくれないんだろう。
 アジトの一室。倉庫としてあてがわれた部屋。段ボールの箱や木箱が雑然と積まれている中を、凜は一心不乱にかきまわしていた。
 前に斑鳩の仕事を手伝ったとき、この部屋にやってきた。そのとき、たしかに見た。荷物の中に紛れ込んでいたあれを。
「ない……くそ……どこだ」
 見つからない。見たと思っていたところにはなかった。
 あきらめずに探し続ける。
 もしやり直せるとしたら、このタイミングしかチャンスはない。霞や斑鳩がいない、いまのタイミングでしか。
「……あ」
 見つけた。
 電子部品の中に紛れ込んでいたそれを、凜は急いで手に取った。


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