Alive & Brave 09 – 凜

 そして本番を迎える。
 12月もあと数日で終わる年の瀬に、創樹院学園が誇る大講堂で演劇祭は行われた。冬休みの期間にもかかわらず、多くの人で賑わった。
 観客にはいろんな人がいた。
 父さんや母さんはもちろん、姉さんも都内からわざわざ観に来てくれた。
 ほかにも真奈海の家族や光太のばあちゃん、小日向さんのご両親も、お忍びで来ていた。
 そして柊さんのお姉さん――詩桜里さんも顔を見せた。これには柊さん本人がいちばん驚いていた。
 詩桜里さんとは3年ぶりの再会だった。
 
「久しぶりね、凜くん」
「……はい」
「元気に暮らしているようでなによりだわ」
「おかげさまで」
「…………」
「詩桜里さん?」
「……いえ、気のせいね。本番、がんばってね」
 
 本番前に、ふたりっきりでそういう話をした。
 演劇祭は2日間行われる。
 公演の順番は、公平に抽選で決まることになっていた。ちなみにどの団体も公演は一度きり。
 
「安心しろ。わたしは引きが強い」
 
 そう言って抽選に臨んだセイラは、見事2日目の最後、大トリを引き当てた。
 否が応でも最高潮に盛りあがる最後の締め。俺たちがその役目を担ったのは、ある意味運命だった。

 そして、幕が上がる――


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