音楽先行で明転。照明はパフォーマンス用。
場面はパーティー会場・ダンスパフォーマンスに切り替わる。
中央にパフォーマンス用のステージがあり、そのまわりを囲むように立食用のテーブルがいくつか置かれている。
パーティー参加者、テケスタ、西園寺、東郷、藤枝、来客に扮したアンサンブルたちはすでに全員板付きの状態。
テケスタによるダンスパフォーマンス。
ダンスが終わると照明がパフォーマンス用から通常のパーティー会場用に切り替わる。
テケスタが下がり、ステージの上に西園寺が上る。
西園寺「ウルトラパフォーマンス集団テケスターズの皆様、素晴らしいパフォーマンス、ありがとうございました。ご来場の皆様、もう一度拍手を! (拍手が終わって)ご来場の皆様方。本日はお忙しい中お越しいただき、まことにありがとうございます。今宵は真城家長女、真城小夜子の婚約記念パーティーを開催いたします!」
一同、拍手。
小夜子がステージに上がる。
小夜子「皆様、本日はわたくしのためにわざわざお集まりいただき、まことにありがとうございます。わたくし真城小夜子は来年の春、綾瀬グループの綾瀬貴之様と結婚することが正式に決まりました」
一同、拍手。
小夜子「貴之様は聡明で、なおかつ優しい方だと伺っております。わたくしはまだまだ未熟者ですが、貴之様と一緒に幸せな家庭を築いていこうと、ここに固く誓います。そして、真城、綾瀬両家に今以上の繁栄を約束いたしますわ」
一同、拍手。
小夜子「どうか皆様、こんなわたくしではございますが、温かく見守っていただけたら幸いです」
一同、拍手。
西園寺「さあ、堅苦しい挨拶はここまでにして、しばらくの間、ご歓談をお楽しみください!」
西園寺と小夜子、ステージから下りる。
来客との歓談。それを見守るテケスタの三人。
周囲が暗転し、テケスタと小夜子の上だけスポットライト。
龍一「タ……ターゲットを確認」
史郎「うわ、すごいかわいい!」
隼人「驚いたなー。想像以上だ。ねえ龍一……(龍一、黙ってる)龍一?」
龍一「可憐だ」
隼人「は?」
龍一「い、いや、なんでもない! 仕事に戻るぞ!」
史郎「よし!」
離れたところに佐倉登場。
彼女の上にスポットライト。
小夜子のスポットライトは消える。
龍一「佐倉さん」
佐倉「こちら佐倉」
龍一「ターゲットを確認しました」
佐倉「了解」
龍一「むっちゃくちゃかわいいです」
佐倉「は?」
龍一「いえ、なんでも」
佐倉「じゃあ打ち合わせどおりに動いて」
龍一「はい。パーティーが終わるまでは動かない」
佐倉「そう。彼女が自室に戻ったときが勝負よ」
隼人「了解!」
佐倉「なにかあったら連絡して。がんばってね」
佐倉退場。
彼女のスポットライトが消える。
龍一「よし。いったん解散だ。定時になったらポイントAに集合!」
テケスタ退場。
彼らのスポットライトが消える。
照明が通常のパーティー会場用に切り替わる。
ステージの上に西園寺が上がる。
西園寺「皆様、本日も宴もたけなわとなってまいりました。小夜子様の婚約記念パーティーも、このあたりで幕となります。ここにはいらっしゃらない主催の真城秋彦様に代わりまして、わたくし西園寺が最後の御礼を述べさせていただきます。本日はお越しいただき、まことにありがとうございました!」
一同、拍手。
西園寺、小夜子退場。
東郷を除き、その場にいる面々、順次退場していく。
周囲が暗転し、東郷にスポットライト。
東郷「こちら東郷。龍一、応答せよ」
離れたところに龍一登場。
彼にスポットライト。
龍一「はい」
東郷「ターゲットが退出したのを確認した。おそらく部屋に戻るだろう」
龍一「了解。執事さんは?」
東郷「ターゲットと一緒だ。部屋まで付き添うだろうが、ずっと一緒にいるわけはないだろう」
龍一「厄介ですね。できるだけ彼がいないところでターゲットを確保したい」
東郷「俺に考えがある」
龍一「ほんとですか」
東郷「ああ。だからおまえたちは安心して準備してろ」
龍一「わかりました」
龍一退場。
彼のスポットライト消える。
東郷「さて、しっかり働いてくれよ坊やたち。おまえたちが成功しないと、俺の仕事が始まらねえからな」
東郷退場。
暗転。