それからさらに1ヶ月以上が経ち、年が明けた。
さらに2ヶ月、3ヶ月――半年と、時間は光速のような速度で流れていく。
相変わらずさっちゃんは見つからない。たぶんこのまま、永久にあの子は見つからないんだと思う。
本当に、最後まで猫みたいな女性だった。
いつだったか、ナオちゃんへ残された手紙を読ませてもらったことがある。付き合いが長かったからか、僕の手紙よりもはるかに文字数が多かった。
困ったのは、僕がどんなに優しくていい男なのかという褒め言葉が、かなり詳細に書き込まれていたこと。たーくんをお願いします、と結ばれていた。
「最後の最後に、なんでわたし、あんたたちののろけ話を延々と読まされないといけないの?」
苦笑交じりにナオちゃんが言っていた。手紙を読ませてもらったときはもうそれなりに時間は経っていて、僕もナオちゃんもちょっとは笑えるようになっていた。
さっちゃんは消えた。
事実は受け入れるしかない。でも僕たちは、いつまでもその事実を引きずっていくわけにはいかない。
僕たちは生きていて、これからも生き続けるから。