Catastrophe 13

「お母さんが発見されたとき、紗綾ちゃんを守るようにしていたって」
「……あ……ああっ……ああああっ!?」
 
 話を聞いた真奈海だけではない。
 全員がむせび泣いていた。紗綾を抱いたままの鳴海も嗚咽が止まることはない。紗夜華は震えながら詩桜里の胸に顔を埋め、椿姫もその場にしゃがみ込んで全身を震わせている。奈々と美緒も体を寄せ合い、あふれてくる涙を止められなかった。ふだんはクールな織田ですら、口を押えて目を伏せている。
 セイラと惺は無力感で押しつぶされそうになっていた。自分たちがその場にいれば、いくらでも救出する手立てがあったのに。
 しかし、そんなことをいまここで考えても無駄だということもわかる。光太の最後が脳裏によみがえった。
 だからこその無力感。
 
「紗綾ぁ……紗綾っ……!」
 
 紗綾が鳴海の手から真奈海に渡った瞬間、泣き声がぴたっと止まる。
 
「よかった……紗綾……お母さんっ……みんなぁ……うわあああっ……」
 
 真奈海の慟哭をよそに。
 愛する姉のにおいと体温を久々に感じて、安心したのだろう。
 紗綾は幸せそうに笑った。


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